100人対話ブログ

髙橋武俊さん × 山口じゅんぺい

髙橋武俊さん×山口じゅんぺい

髙橋さんは社会で様々な顔を持っている。
アカデミアの研究者でもあり、企業の企画職でもある。行政や自治会・町内会のアドバイザーも行っており、過去にはNPO法人の理事もやっていた。すべては”まちの良いものを活かすメカニズム”を追究するためで、住宅地や商店街、離島の活性化などに携わってきた。
また、とある市の総合計画づくりに携わった際には自治体経営のための計画や条例の再体系化に取り組んだり、市民の幸福度指標を社会インパクトとして計測する視点を取り入れ、縦割りとなりがちな行政に横のつながりをもたらす取り組みを推進してきた。大学院時代から海外のまちづくりに関する視察経験も豊富で、海外事例で先進的なものを日本で取り入れてブレイクスルーを生むことを考える「Mr.まちづくり」だ。

髙橋さんは1つ聞くと、惜しみなく10くらい事例をふまえて教えてくれる。
特に私が感銘を受けた事例についていくつか共有したい。

〇企業が公園を持つ時代
アメリカ西海岸などでは、公園づくりと運営管理を企業が行っている。それらの公園は企業のPRが出来るショールームでもあり、社員の福利厚生、住民の憩いの場となるようにコミュニティデザイナーを採用し、攻めのパークマネジメントを行う取組みが進んできている。

ドイツのミュンヘンではオリンピックパークの一角にBMWのショールームがあるが、じつはドイツで一番の集客力を誇る施設だ。パーク内の運動場で子どもたちがテニスをした後に、友達と一緒に立ち寄って売店で飲み物を買って、新しい車と並んで写真を撮って帰る。子どもの日常生活の中に溶け込んでおり、子ども達が「BMW。ああ、僕たちのまちの会社だね」として語れる経験に満ちている。

ドイツの企業は福利厚生の一環として、社員の住む町に投資することを始めている。
スポンサーを募る公園マネジメントは企業誘致の発想にも応用できるのではないか?

〇街の文化を知らせるのは景観とイベント
日本の景観まちづくりは、古き良き景観を守るというイメージが根深い。しかし、訪れた人たちがまちを見て「このまちにはこんな文化があるんだ」「こんな楽しいまちなんだ」という印象を生み出すことを重視するのが世界の景観まちづくりの考え方だ。特に子どもたちが一目見て分かることが大切だ。

今、茅ヶ崎はコロナ禍をきっかけに移住者が増えているが、その人たちが将来にわたり住み続けてくれるのか、それともまた新たな移住の波が来た時に離れてしまうのか、まちづくりとしてちゃんと向き合う必要がある。移住してきた人たちが仲間になり、住み続けたいと思い、いざという時に踏ん張ってくれる人になってもらうためには、その人たちが居心地が良く、文化的に共感できる空間であるべき。そのためには景観が茅ヶ崎のブランドにつながっているという発想で戦略的に取り組むことが大事になる。

例えば松は湘南の原風景。それを守るために松を維持するには1年あたり1本30,000円くらいかかるけど、それに対して補助できるのは1本2000~5000円くらいが限度。この差額をどう作り出すか。湘南の原風景を守るアワード制度やビジネスが成り立つエリアとしてのマネジメントシステム、教育やコミュニティでの活用機会、開発を財源とした基金、アカデミアでの研究実験フィールド等、様々な解決の切り口が考えられるが、ただ、これは行政だけではなかなか進められない。担当課だけの問題ではないし、他の課も根拠としている法や計画が異なるので、別途行政の担当課を超えた横串の政策を作ることが必要になる。
このように横串で動かすことができるのが、政治の力が必要なのではないかと思う。市民からの賛同、大義名分があることで行政職員も力を発揮できるようになる。

〇地域の問題はクリエイティブの発揮しどころ
アメリカのポートランドでは車社会から自転車社会へシフトしていくことを進めたが、自転車の放置や盗難など様々な問題が発生していた。その時にポートランドは「うちのまちではこの問題をクリエイティブに解決していきます!」と街全体で宣言をしている。例えば、自転車置き場を地元大学のアート専攻の学生の卒業制作・アート作品の展示場にしてしまった。どこそこのお店の前の自転車置き場は、〇〇大学の〇〇さんの卒業制作として記載が残っている。そして、まちづくりのファクトシートと呼ばれるショートレポートでBefore-Afterをこまめに発信していく。このような取り組みから住民の関心度を上げていく。一番問題があるところを一番クリエイティブに解決すれば世の中にインパクトが生まれるよね、という発想で取り組んでいる。
問題があるところを逆に話題にできないか?という発想で考えてみたらどうか。

〇ミュンヘンは住民主体のまちづくり。そのためにまちを学ぶ場を徹底して用意する。
ドイツのミュンヘンは世界でも住民参加のまちづくりをいち早く取り入れた都市として知られている。そこには住民参加のまちづくりを支える仕組みも先進的だ。都市やまちの政策・事業に、市民が意見をいうことは当然の権利だ。しかし、全く勉強していない分野では、意見を出せなかったり、出て来ても活かすことが出来なかったりしてしまう。そのため、住民がまちに参加することは当然の権利だけど、本当に大切なことに関わりたい人達には勉強するためのカリキュラムと施設を徹底して用意した。
特に2~3年に1度行われる都市計画の広報イベントは、都市開発の動き、歴史的なまちづくり、こどものまちづくり、郊外での農業の村づくりなど、ミュンヘンの取り組みの最前線を一堂に知ることができ、住民が賢くなれる社会参加の機会が開かれている。

こうした様々な先進事例から私たちは何を学び、何から変えていくことができるだろうか?

  • まずはファクトシートと呼ばれる「今何が起きているのか」「何が問題なのか」解決策の前に現状の問題点を共有すること。
  • その問題に対して興味関心がある人が集まり、クリエイティブに解決する方法を定期的に議論すること。
  • 地元のリソース(使用可能な土地や建物)を掘り起こすこと

 

茅ヶ崎にはクリエイティブな人が沢山住んでいて、その力を発揮したいと思っている人は沢山いるのではないかと思う。特に新たに移住してくる人は多様なスキルを持ち、クリエイティブに長けた人も多く、その力を発揮できる場とのマッチングができれば今までにないような解決策が生まれるのではないかと思う。
そうした新たな解決策の事例が増えていき、市民が活かされ、ここに住んでいる事が誇りに感じられるようになる。
そんな幸福度の高い住民が住むまちにあらゆる都市から視察に訪れるような流れができる。
そんな茅ヶ崎の可能性を妄想をすると、どうにかして実現したいとワクワクが止まらなくなるのだった。

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